TOKYO FOOTBALL STORY

TOKYO FOOTBALL STORY
直江 健太郎 / 三菱UFJ銀行(東京1部)

TOKYO FOOTBALL STORY 2021

直江 健太郎/三菱UFJ銀行

「何事も目的、やりがいを持って」

東京都社会人サッカーリーグ1部の三菱UFJ銀行に所属するMF直江健太郎(25)。同行サッカー部の目標や活動方針、自身の仕事やサッカーへの取り組み、社会人サッカーの魅力を聞いた。
(※インタビューは2021年7月に実施)

INTERVIEW

サッカー部は勝つことが全てで活動はしていない

Q.三菱UFJ銀行サッカー部の活動コンセプトや目標は。

「目標はもちろん東京1部で優勝すること。一方で、『部』としてのコンセプトはできるだけ多くの人に参加してもらえるようなチームにしていくこと。週に5日仕事をして、貴重な土日をサッカーに当てるというのは、人によっては抵抗があると思います。それでも参加しようと思えるようなチームにすること。単純に勝つことが全てであれば企業チームでやる必要はなくて、他のクラブチームでサッカーをすれば良いという話になります。同じ組織、会社内のメンバーが集まるからこそ得られるものを求めて活動しています」

Q.ご自身はその活動コンセプトをどう思っているか。もっと勝利を追求したいと思うことはないか。

「活動方針については、僕自身もそうあるべきと思っていますし、その中で一つでも多く勝って、みんなと喜びを分かち合いたいと思っています。個人の立場でいうと、去年から主将代理を任されていますが、僕自身は社会人サッカーにおいて何かを強制的にやらせるのは良しとは思っていません。口で言うよりも自分の行動やプレーによって引っ張っていきたい。『あいつがあれだけやっているなら俺も頑張らなくちゃ。俺もやってやろう』と思われるような存在になりたいと思ってやっています」

Q.企業チームならではの良さみたいなものはあるか。

「東京海上さんのような企業チームもそうだと思いますが、僕らは同じ会社に属していますが、それぞれ仕事の内容が違ったり、様々な業務に携わっているメンバーが集まっています。そういった部の活動というのはサッカーのみならず、仕事の悩みを相談できたり、業務の知見を広げたり、特に新人、若手からするとすごくありがたい場になっています。僕自身も何度も助けられましたし、サッカーと同時に仕事においても成長できる場だと思います」

今はチーム内競争が足りない、現実的な目標は1部残留

Q.近年は1部リーグにおいてなかなか良い成績を残せないでいる。現状をどう感じているか。

「ここ2、3年で銀行の採用人数が極端に減っていて、僕が入社した時よりも新入社員の数は3、4割は減っています。そうなると必然的にサッカー経験者、サッカーをやりたいと思う新入部員が減り、2、3年前まではあったチーム内競争というのが正直今はなくなってきています。やはりチーム内競争があってはじめてチーム力も高まると思うので、最近はそこが弱いのかなと思います。とはいえ、人が入ってこないから勝てないというのは言い訳になってしまいますし、もっと一人ひとりが他人任せでなく、自分ごと化して取り組んでいく必要があると思っています」

Q.そういった実情も踏まえて、今後はどういったチーム作り、目標を立てていかなくてはいけないか。

「正直、今までのように毎年安定的に新人が入ってくるということはないと思いますし、今いるメンバーもいつ異動や家庭の事情で参加できなくなるかはわからない状況です。そういった実情を踏まえると、今後の目標は最低でもこの東京1部というカテゴリーを死守すること。そこは目標というより使命に近いです。一方で、会社のサッカー部だからこその活動というのも大事にしなくてはいけないので、できるだけ多くの人に参加してもらえるような組織にすること。この2つは、現状の課題でもあると同時に僕らの目指すべき姿だと思います」

直江 健太郎/三菱UFJ銀行直江 健太郎/三菱UFJ銀行直江 健太郎/三菱UFJ銀行

仕事もサッカーも目的を持ち、やりがいを感じて取り組みたい

Q.銀行の仕事を選んで良かったこと、やりがいというのは。

「僕自身はいま法人を相手に融資をはじめ、お客様の課題解決のために銀行、グループとして何ができるかを考えて仕事をしています。やりがいは、やはりお客様から感謝をされた時。『銀行にお願いしても無理なんじゃないか』というようなネガティブなお客様に対しても、関連会社、グループと一緒になって解決策を探し、実際に課題解決に寄与できた時はすごく喜びを感じます。『銀行に頼んで良かった。直江さんにお願いして良かった』と言われた時には大きなやりがいを感じます。もともと僕が大学時代に銀行に興味を持ったのも諸先輩方からそういった話を聞き、企業や人の力になりたいと思ったからです」

Q.社会人3年目を迎え、ご自身はここからサッカーと仕事を両立させながらどのように成長していきたいと考えているか。

「僕自身は何をやるにしても自分が取り組んでいることにやりがいを感じながら生きていきたいと思っています。人によっては『こんな暑い中、なんでサッカーなんかするんだ』とか、『なんでこんな仕事をしなくてはいけないだろう』って思うことは少なからずあると思います。でも、自分としてはその先にあるビジョンや目的さえはっきりしていれば、自分自身がこうなりたいから今これをやっているんだ、そのための一つなんだと、やりがいというか誇りを持って物事に取り組めます。それは自分勝手というニュアンスではなくて、自分が目標に向かって愚直に努力を続けることが、最終的には周りの人たちにもいい影響を与え、前向きなエネルギーにつながると思っています。自分は目的もなくただ行動することができないタイプなので、仕事もプライベートもサッカーも常に目的、やりがいを感じながら取り組んでいきたいと思っています」

Q.業界的には将来について厳しい見られ方もあるが。

「実際に厳しいとは思います。ネット銀行や新しい金融サービスの台頭などで『この先危ういんじゃないの』と言われるのは事実としてありますし、それに対して僕自身は『大丈夫。そんなことはない』とは言えないです。でも、将来について厳しい目を向けられているのはこの業界だけではないですし、それに自分としては法人、個人にとっても銀行は生活していくため、日本の経済が発展していくためには必要な組織であり、社会インフラとしての責務があると思っています。自分の力なんて本当にわずかかもしれませんが、それでも自分の日々の業務活動がきっと日本経済にいい影響を与えてくれるだろうという気持ちを持って取り組んでいます。組織が大きくなればなるほど一人ひとりの頑張りは見えづらくなりますが、お客様からのちょっとした感謝の気持ちを大切にして、そこにやりがいを感じながら取り組んでいきたいと思います」

「仕事もサッカーも頑張る」それこそが社会人サッカー

Q.最後に今後社会に出る大学生たちに社会人サッカーの魅力を伝えるとしたら。

「学生時代にトップチームやトップの近くでプレーしていた選手ほど、社会人になってまでサッカーを続けることに抵抗があるかもしれません。でも、学生サッカーには学生サッカーの醍醐味があるように、社会人サッカーには社会人サッカーの面白さがあります。特に東京1部は色々な目的やバックグラウンドを持った選手たちが、リーグで1勝するために多くの準備をして臨み、自分も毎試合、毎試合、こんなチームもあるんだと刺激を受けながら対峙しています。それに大学時代にライバルだった人間と社会人になって同じチームになることもあるし、逆に大学時代の仲間とライバルチームになって戦うこともあります。そういった新しい楽しさもあります。

 それに何よりサッカーを続けることで、仕事だけをしているよりも明らかに人脈は広がるし、視野も広がると思います。それこそ純粋な社会人クラブに入ってサッカーを続ければ、色々な業種の人たちと触れ合うことも出来るし、こんな仕事もあるんだと新たな発見もあり、自分が仕事をするうえでも大きな刺激になります。そういった刺激は学生だけしかいなかった世界とは全く別の世界です。『サッカーも仕事も頑張らなくてはいけない』。そう思えるのは社会人サッカーを続けているからこそだと思うので、ぜひ、続けてもらえたらと思います」

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PROFILE

直江 健太郎 MF/三菱UFJ銀行

1996年生まれ。埼玉県出身。早稲田実業学校高等部 - 早稲田大学ア式蹴球部。大学卒業後は三菱UFJ銀行に入社し、東京1部の同行サッカー部に入部。長いリーチを活かした懐の深いボールキープと得点力を武器にアタッカー、ゲームメーカーとして活躍。2017年の大学3年時には東京都国体選抜・成年チームに選出。

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